国税不服審判所への「直接審査請求」が約7割に

国税不服審判所への「直接審査請求」が約7割に

http://www.kfs.go.jp/

最近の税関係のニュースに次のようなものがありました。
(要約)
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・国税庁が6月20日に発表した「平成29年度における審査請求の概要」によると、平成29年度における審査請求2953件のうち、税務署への再調査の請求(異議申立て)を経ずに直接、国税不服審判所に審査請求があった件数は2020件、前年度比37.1%増となった。

・審査請求全体の約7割が直接請求となり、国税不服審判所がより身近になったことがうかがえる結果となった。

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国税庁のHPによると、
(国税庁HPから)
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○平成29年度における再調査の請求の概要
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/saichosa/index.htm

○平成29年度における審査請求の概要
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/shinsa/index.htm

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そこで、審査請求について考えてみます。


納税者や税理士の立場で考えてみると、税務調査によって未納の税金を指摘され、追徴課税をされる場合です。

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おおざっぱに流れを見てみます。

1)
納税者(税理士)が、税務署の指摘した事項に納得できず修正申告書を提出しないと、税務署は更正(決定)してきます。

納税者(税理士)は、その更正(決定)に納得がいかない場合、次のとおり、三つの道のうち一つを選択します。

A 更正(決定) → 「再調査の請求」 → 審査請求 →  裁判
B 更正(決定) → 「審査請求」 → 裁判
C 更正(決定) →更正を受け入れる。(これで終了。税務署の手を煩わせるのが目的であり、本当は更正(決定)のとおりでやむを得ないと考えている・・・等)。

争うのであれば、Aを選ぶのか、Bを選ぶのか・・・です。

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2)
いずれにしても、修正申告を提出せず、更正(決定)を受けるということは、次のような場合が考えられます。

<可能性が低いものや、他にもあるかもしれませんが、思いつくままに・・・>

①問題となった法律の解釈が納得できないので、他の機関で判断してもらう。
②指摘された事実関係が納得できない。
③指摘された事実関係は、ほぼ納得したが金額的にどうにかならないか。
④税理士は、指摘されたとおりであると考えるが、納税者が納得しない。
⑤税務署の担当者の態度が気に入らないので・・・。
⑥納税者は納得しているが、税理士が税務署と戦う姿勢を見せるため。
⑦・・・

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3)
国税不服審判所や裁判所は、きっちりと判断します。
交渉はできません。

そうすると、上の①は、意味があるかもしれません。

税務署の「再調査」は、どうでしょう? 税務署判断の及ぶ範疇です。

②や③は、「再調査」の段階を通してもよいかもしれませんね。
(「過大役員退職金、過大役員報酬など」については、更に前の調査段階で妥協点を見つけた方がよい場合があると思います。)

「再調査」の結果に納得ができないなら、「審査請求」へ向かえばよいだけです。

④、⑤、⑥は・・・何とも言えません。手間やコストなどいろいろ考えて・・・

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「再調査」を避けない(逃げない)方がよい場合もあるでしょう。

必ずしも、すべて直接審査請求がよいとは言えないと考えます。