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役員退職給与めぐる注目事件で逆転判決
東京高裁、平均功績倍率の1.5倍を採用した東京地裁判決を認めず
過大役員退職給与を巡り、東京地裁が平均功績倍率の1.5倍を採用して課税処分の一部を取り消した注目事件の控訴審で納税者逆転敗訴(東京高裁平成30年4月25日判決)。
東京高裁、平均功績倍率法は同業類似法人の抽出が合理的に行われる限り、法令の趣旨に“最も”合致する合理的な方法と判断。国側による抽出基準の合理性を認める。
(情報提供:株式会社ロータス21)
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地裁が採用した1.5倍の根拠が不明でありましたが、やはり、この考えは高裁では通用しなかったです。
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いろいろなHPでこの「1.5倍」についてコメントがありました。
>「1.5倍」の根拠が分からない。
>これが認められれば、枠が広がって、今後、税務署が更正処分を行いづらくなって納税者が有利になる。
>これまで、「平均功績倍率」を納税者側は知ることができなかったので、画期的であり納税者の立場を考えた判決である。
>など、など、
>>(これらは、私の記憶によるものです。)
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「不相当に高額」ということで国税側が更正処分をしてきた時点で、納税者側が争いに勝つことは難しいですね。
納税者は、もともと「不相当に高額」かどうかが分からないです。
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国税側は、裁判で主張する平均功績倍率とその率を求めた根拠を示すための調査を行っています。
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>国税側は、納税者の役員退職給与が不相当に多額である場合、平均功績倍率と納税者の用いた功績倍率を比較し、「納税者の率」が「平均の率」を超えた場合、超えた率に対応する金額が過大な退職給与であるとして、「超えた部分の金額は認めません」と処分をしてきます。
>調査にあたり(調査段階で)国税側は、納税者の用いた「功績倍率が高いと見込まれる」と一応の判断をすると思います。
>「納税者の率」の程度や今後調査に必要な事務量などを考慮して、調査を進めるかどうかを判断するのでしょう。
>そして、「平均功績倍率」を求めることとした場合は、過去の裁判例で認められている方法で納税者と比較できる法人を抽出して、この「平均功績倍率」を求めます。
>そして、把握した「平均功績倍率」と「納税者の用いた功績倍率」を比較することになります。
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すなわち、国税側が調査により把握した「平均功績倍率」が調査法人の用いた功績倍率より小さいから更正処分を行うわけです。
一方、調査したところの「平均功績倍率」が、調査法人の用いた功績倍率より大きければ更正処分を行いません。
>たとえ、平均功績倍率を求めるための事務を投下しても、「平均功績倍率」の方が大きければ是正する根拠が無いためです。
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国税側が負けるのは「極めて特殊な事情」がポイントになる場合(残波事件など)や、功績倍率の抽出に直しがあり、「率」が変わる場合などですね。
>この「率」の見直しによる「一部取り消し」は、裁決例、裁判例でも、まれに見ることがあります。
>しかし、基本的には納税者の主張が認められたとみることができません。
納税者は、そこを主張している訳ではないからです(というより、この部分に係る主張する根拠を持ち合わせていない)。
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納税者側は、更正をされる前(調査担当者とのやり取りの段階)に合理的な説明(妥協点も含め)ができるか、更正を受けるか、、、というところでしょうか。
>更正されると、その金額は思ったより大きくなることがあり、そのような場合は大変ですね。
>よく話し合って妥協点を見つけて(合理性を説明して是認、あるいは少ない金額での修正申告)決着させたいですね・・・